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「おい親父、どういうことだ。
それに佑。お前はもう凜じゃねえだろ。
商売しようとするな」
「あ」
統也の低い声が止めるまで、気づかないうちに凜に戻ってた。
それに今気づいたけど……
「親父?」
「ああ、俺らの親父だ」
「統也と亜紀の父親の神田京太郎です。
統也、絶対離すなよ、それでとっとと結婚しろ!
そしたら凜は俺の娘だ!
好きなだけ連れ歩ける! また凜のお酌で酒飲んめる!」
「あら、それは素敵! 凜ちゃん? 佑ちゃん? ランちゃん?
わからないけどお姉さんとお買い物とかショッピングとかいきましょうねー」
「母さん、それ一緒」
私の知ってる家族は冷たいもので。
お母さんは私をいつも睨みつけるし、家族と同じ部屋にいるだけで怒鳴られる。
お父さんはそんな光景を見て見ぬフリか一緒になって怒鳴るかで。
誰からも愛される妹は、誰からも嫌われる私を不思議そうに見つめていた。
この日私は初めて、家族というものの温かさを知った。
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