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これまで寄って来た女共の目当ては、地位や金だけじゃねえ。
俺の顔と身体目当ての奴もごまんといた。
その俺に、まるで二次元の世界から出てきたようなデート。
同い年である佑の、見たこともねえような色っぽい姿。
それらを何を思って見ていたか。
俺達が去る間際の、あの何とも言えねえ表情を思い出すと、また笑いがこみあげてきた。
あまりに思い通りになるから、上がる口角を抑える気にもならねえ。
《後のお楽しみは明日っすね》
「ああ。あの聖女様は現実を突きつけられてどんな反応するかな」
《本当にお嬢さんには言っとかなくていいんすか?》
「いいんだ。
佑はクイーン、夜の女王の異名をとるような女だぞ。
何より俺の嫁だ」
絶対に、負けない。
絶対に俺から離れて行かない。
そう言い切れる。
数秒の沈黙が流れたが、篤郎はいつものように小さなため息を吐き、笑った。
《まあ、お嬢さんは肝が据わってらっしゃいますからね。
では若、明日いつもの時間にお迎えに参りやす》
「ああ」
明日を思い浮かべながら、俺はもう一度笑った。
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