世界の違い

42/42
前へ
/369ページ
次へ
「なら、神田さんは?」 「私? 生きてる世界が違うに決まってるじゃん。 統也と結婚したんだから」 「でも! 統也さんヤクザなんでしょ!? 今はラブラブかもしれないけど、浮気されたらとかっ捨てられたらとか思わないの!? 危ない世界だって、襲われたりしたらどうしよう、とか考えないっ!?」 すると、今度は今まで黙り込んでいた統也が口を開いた。 「あ? 佑を手放す気も泣かせる気も、傷つける気もねえよ。 佑に手出す奴は全員ぶっ殺してやる。 てめえのちっぽけな価値観じゃわかんねえだろうけどな。 二度と佑に近づくな。 二度と佑に自分の考えを押し付けるな。 次に応接室に近づいてみろ、てめえの将来どうなるかわかんねえぞ」 声色はきっと他人でもわかるくらい不機嫌で。 それを聞いて、流石にまずいと思ったらしい。 「……わかり、ました……」 田中美亜子を見たのは、それが最後だった。 三日後、彼女は転校して行って、またいつも通りの日常に戻った。
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15035人が本棚に入れています
本棚に追加