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「なら、神田さんは?」
「私? 生きてる世界が違うに決まってるじゃん。
統也と結婚したんだから」
「でも! 統也さんヤクザなんでしょ!?
今はラブラブかもしれないけど、浮気されたらとかっ捨てられたらとか思わないの!?
危ない世界だって、襲われたりしたらどうしよう、とか考えないっ!?」
すると、今度は今まで黙り込んでいた統也が口を開いた。
「あ?
佑を手放す気も泣かせる気も、傷つける気もねえよ。
佑に手出す奴は全員ぶっ殺してやる。
てめえのちっぽけな価値観じゃわかんねえだろうけどな。
二度と佑に近づくな。
二度と佑に自分の考えを押し付けるな。
次に応接室に近づいてみろ、てめえの将来どうなるかわかんねえぞ」
声色はきっと他人でもわかるくらい不機嫌で。
それを聞いて、流石にまずいと思ったらしい。
「……わかり、ました……」
田中美亜子を見たのは、それが最後だった。
三日後、彼女は転校して行って、またいつも通りの日常に戻った。
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