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「何っ!?」
「様子を見てくる。佑、この部屋から動くなよ」
その音を聞いた瞬間、統也は慌てたように寝室を出て行った。
その慌て方で、音が確かに銃声なんだとわかる。
パンッ
重厚な扉と窓。最新の指紋認証システム。
中まで入ってこれるわけはないってわかってるけど。
パンパンッ
パンッ
鳴りやまない音に、身体が硬直してベッドから一歩も動けなかった。
何十分そうしていたんだろう。
すごく長く感じたけど、本当は5分くらいで、統也は息を切らせて返って来た。
「大丈夫か?」
「統也こそ大丈夫? 今の銃声?」
「ああ、西にここがバレたらしい。
あいつらは篤郎達が連れていったが、今日は学校に行くな。
念のため事務所に行くぞ」
「うん……」
夜の世界に足を突っ込んでいた分、こういうことがあるのは知っていた。
覚悟もしてた。
でも、統也のその真剣な表情に、本当に危険な世界なんだと実感した。
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