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「統也さん?」
一宮が不思議そうに神田統也の様子を窺う。
「こいつへの話は終わったか?」
「え、はい……。でもこいつ、夜の女王について何も知らない役立たずっすよ?」
「そうか。ならお前らはもうこいつに用はないな?」
「え?」
「こいつにもう用はないなと聞いてるんだ!」
怒ってる。
隣にいる私にもわかるくらいだから、真正面からそれを見ている五人にはどう見えてるんだろう。
みんな血の気が引いたような顔をしているし、佐東と橘に至っては気のせいか震えているようにすら見える。
それくらい低い声で神田統也はもう一度問いかけた。
「二度とこいつに近づくことはないな?」
「っはい……」
あまりの迫力に、つい答えてしまった。
一宮はそんな様子だ。
あまりのことに茫然としていると、その答えに満足したらしい神田統也がくるりとこちらに向き直る。
「これでお前は俺のモンだよな?」
「え……」
乾いた声が自分の口から漏れた。
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