神田統也

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一宮晃side 俺は夢を見ているのかもしれねえ。 あの統也さんが女に優しく囁いたかと思うと、絶対離さないと言わんばかりに独占欲丸出しで抱きしめた。 統也さんといえば常に冷静で冷淡。 決まった女を持たないことで有名。 竜神会の後継者として有名な統也さんには俺以上に女が寄って来たが、振り向くことは絶対にない。 たまに欲を吐き出すためだけに抱きはするが、それだって稀なことだ。 抱くのは一回きりだし、二回目をしつこく綴った女は沈められたとも聞いた。 その統也さんが。 優しく女を抱きしめている。 しかも相手は昔少し相手をしてやった奴で、見た目からして軽い。 ギャルなんて統也さんが嫌いそうな人種なのに、なんで統也さんは相手にしてるんだ? 「統也さん?」 「あ?」 クイーンを抱きしめたままの統也さんがこちらに向ける顔は険しいまま。 この人のオーラは凄い。 東日本を束ねる竜神会の後継者だけあって、隙はねえし本気を出せば俺ら族なんて一ひねりにされちまう。 そんな人に睨まれて、背中がぞっと冷えた。
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