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佑side
――何で?
何でこの人は知ってるの?
私の正体も、この髪がウィッグだってことも。
3か月前に地毛からウィッグに変えても、誰も気づかなかったのに。
何でこの人は私を抱きしめてるの?
その腕は壊れ物を扱うみたいに優しくて、とてもやくざとは思えない。
驚いて立ち尽くしていると、ふと足にかかる重さが消えた。
「え……」
「行くぞ」
その言葉とともに視界に天井が移る。
抱っこされてる。
しかも本の中だけかと思ってた、姫抱きにされてる。
「ちょっ降ろして」
「だめだ。暴れるな」
私と同じく茫然と立ち尽くす総長と幹部をよそに、神田統也は旧図書室も、そのまま学校も後にしてしまった。
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