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「だって夜の女王を女にしたっていうなら聞こえもいいし、情報とかお金とか利用価値もあると思うけど、
これじゃ女子高生を女にしたロリコンだって宣伝してるようなものだと思いますけど」
「いいんだよ。蘭沢佑は俺の女だっつう宣伝をすんだからな」
「いやだから、蘭沢佑には何の価値もないと思いますけど」
言い切ると、ふわりと身体が空に浮かぶ感覚。
気づくと神田統也の膝に座らされていた。
「お前……俺が利用価値でお前を選んだと思ってんのか?」
「……え……?」
「学校で見かけた時からお前を目で追ってた。
1年近く前からお前のこと調べて、凜とか名乗ってバーで仕事しだしてからは攫いたくて仕方なかった。
お前に惚れてんだよ」
耳元で囁かれる甘い言葉に、頬に一気に熱が集まった。
「俺は懸けに勝ったんだ。もう離さねえ。
敬語やめろ。名前で呼べ。
あんなボロアパートにはもう帰さねえ。
いいな、佑?」
わかったな、佑?
神田統也はもう一度、優しく優しく囁いた。
女の私が望まれて生まれなかった証の、大嫌いな名前なのに呼ばれても嫌悪感がない。
それどころか心にすっと入りこんでくる。
「ぅん……」
「いい子だ」
小さく頷くと、優しい腕が背に回った。
ぴったりくっつく鍛えられた胸に、鼓動がこれまでになく早まる。
それなのに、逃れたいとは思えなかった。
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