新しい生活

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車はこの辺りで有名な、高級マンションの前で停車した。 「若、着きました」 「ああ。佑、降りるぞ」 賃貸はなし。 一番下の部屋でも億はいくという35階建ての高層マンション。 「ここは……?」 「俺の家だ」 平然と答える統也に、やくざって儲かるのか? っていう疑問がわくのは仕方ないと思う。 統也に腰に手を回された状態で、大理石でできた玄関を通り過ぎてエレベーターに乗り込む。 乗り込んだエレベーターには高層階専用なんて書いてあったけど、それは見なかったことにしよう。 25階で降りて、コンシェルジュさんの前を通り過ぎ、暗証番号を入力して再び別のエレベーターに乗り込んだ。 「何で乗り換えるの?」 「25階は高層階の住人専用のラウンジだ。 服屋とカフェもある。そこなら勝手に行っていい」 「そうじゃなくて……」 会話がすれ違っているけど、諦めることにした。 超有名芸能人や会社経営者ばかりが住むっていう高層階エレベーターに普通に乗り込むってことは、そういうことなんだろう。 「着いたぞ」 降りる前に確認した電子掲示板には、確かに35と表示されていた。
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