14749人が本棚に入れています
本棚に追加
/369ページ
車はこの辺りで有名な、高級マンションの前で停車した。
「若、着きました」
「ああ。佑、降りるぞ」
賃貸はなし。
一番下の部屋でも億はいくという35階建ての高層マンション。
「ここは……?」
「俺の家だ」
平然と答える統也に、やくざって儲かるのか? っていう疑問がわくのは仕方ないと思う。
統也に腰に手を回された状態で、大理石でできた玄関を通り過ぎてエレベーターに乗り込む。
乗り込んだエレベーターには高層階専用なんて書いてあったけど、それは見なかったことにしよう。
25階で降りて、コンシェルジュさんの前を通り過ぎ、暗証番号を入力して再び別のエレベーターに乗り込んだ。
「何で乗り換えるの?」
「25階は高層階の住人専用のラウンジだ。
服屋とカフェもある。そこなら勝手に行っていい」
「そうじゃなくて……」
会話がすれ違っているけど、諦めることにした。
超有名芸能人や会社経営者ばかりが住むっていう高層階エレベーターに普通に乗り込むってことは、そういうことなんだろう。
「着いたぞ」
降りる前に確認した電子掲示板には、確かに35と表示されていた。
最初のコメントを投稿しよう!