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教室に入っても馬鹿にしたような、蔑むような視線は消えなかった。
それどころか机には『バカ女』『尻軽』『勘違い女』『みんなの龍皇なのに期待するとかマジウケる』なんて落書きが。
あ、尻軽は昨日までなかった。
とにかく、この学校で私を良く思う奴はいない。
たった一人のバカを除いて。
「よ、ラン」
「……」
「また増えたか?」
「尻軽だってさ。私が尻軽ならこの学校の女子はみんなアバズレだと思わない? アキ」
「ははっ。まー気にすんなー」
唯一話しかけてくれるのは、同じクラスで席も隣の亜紀。
女の子みたいな名前だけど、コイツはれっきとした男。
それどころか龍皇の一員だったりする。
お姫様扱いから一転、私を嘲笑った龍皇に所属しながら、亜紀だけは私に変わらず接してくれる。
「てかさ、ラン様ヘルプー。分数のかけ算って何? 分数ってかけ算できるの?」
「……うん、教えましょう」
金髪メッシュ、ピアスじゃらじゃら。
見た目を裏切らない亜紀のバカさ加減に私は救われてる。
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