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「あぢぃ…」 6月が終わろうとしている今日この頃 流石初夏とも言うべきか 30℃を超える日が続いている 教室は冷房すら置いていないので窓から吹く風で何とか凌ぐしかない 「黒滝、問8を前に出て書け」 「げ」 先程熱いと零した制服を着崩し茶髪混じりの黒髪を少し跳ねさせた男子が嫌そうに席を立つ 「暇そうに窓の方向いてたもんな もちろん解き終わってたんだろ?」 黒板の前に出てきたものの話を聞いておらず チョークを持ったまま ぼー としている黒滝に 暑いのにも関わらずネクタイをびしりと結び 端麗とも言える顔に汗一つかかず 着崩す事無くスーツを着ている男性教師が小馬鹿にする いや 流石にジャケットは着てはいないが 「丹羽ちゃん 暑くないの」 黒滝と呼ばれた男子はチョークを弄びながら教卓に座る男性教師に話しかける 「お前とは鍛え方が違うからな いいから ほら解け」 「丹羽ちゃんのいけず」 「そのちゃん付けやめろっつの」 黒滝はブツブツと言いながらもようやく手を進めた カラン というチョークを置く音と同時に教室が静まり返ったのがわかった 不思議に思い 答えを間違えたかと丹羽と呼ばれた男性教師の方を向くと 正解だ とだけ呟き丸を付けた 「まじかよ…黒滝…」 「どういう意味だお前」 その瞬間どっと笑いが起こる教室の中 黒滝と呼ばれた男子の名前は黒滝 秋 黒滝は言わば誰にでも好かれるタイプの人気者 ムードメーカー的存在であり さっきのように見た目に反して頭は良い そして、顔も とりあえず適当に笑い返しておいて席に着く 頬杖を付き窓の外を見ながら 「…つまんな」 ボソッと呟いたことは誰も知らない
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