16036人が本棚に入れています
本棚に追加
「フン、俺はおまけで、会いたいのは唯花だけだろ。
おふくろと同じ便で帰るのか?」
Tシャツを被りながら、悪態を吐く。
「いや、私は明日の夜に」
「そうなんですね、準備でお忙しいのに、わざわざ
来てくださって、ありがとうございます」
レオンさんとキャシーとは、何回か食事したり、
バーで飲んだりした。
親子ほど歳が離れてるけど、友達になれた2人が
帰っちゃうなんて、寂しい。
「ユイカ、君と知り合えて良かった。
君は本当に彼女に似ていて、他人とは思えない。
日本に来た時は、また会ってくれるかい?」
「ええ、もちろんです。2人が帰国したら寂しくなります」
「わたしも寂しいよ。ユイカもぜひ、オーストラリアに
遊びにおいで。歓迎するよ」
レオンさんが、わたしの手を取った。
「おい、レオン。唯花に触んな!」
「尊士はケチだな。ところで、気になったんだが、
表札が『宮藤』になってたけど、字が間違ってないかい?」
尊士に怒られて、しぶしぶ手を放す。
最初のコメントを投稿しよう!