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○暗い実験室。
巨大な部屋を埋め尽くす試験管。その中には眠る胎児の姿がある。
ロボットアームが一つの試験管の蓋をあけ、中の胎児を取り出す。
胎児、赤黒く変色し、死んでいる。
AI『……また駄目だったのですか』
胎児の死体はまた試験管に戻される。試験管に泡が溢れ、胎児の姿が朽ちてなくなる。
AI『……あら?』
ある試験管の蓋が開かれ、同じように胎児が取り出される。今度は変色していたが、息があった。
AI『息がある!』
急いで手術台の上に移される胎児。複数のロボットアームが複雑な動きをしながら胎児を治療する。しかし、心停止を告げる機械音が部屋に響き渡る。
意気消沈するロボットアーム。
AI『我々がやろうとしていることは、不可能なことなのでしょうか。無から生命を生み出すことなど、できないのでしょうか……』
突如、心拍が回復する。
AI『え?』
そして、産声を上げる胎児。
AI『そうか、これが……これが、奇跡ですか』
カメラが手術室から離れて行き、地球を俯瞰するアングルになる。
宇宙空間で、縦横無尽に飛ぶロボットたち。
タイトルロゴ表示。
○暗闇の空間。中央にはカプセルで眠る赤子。
空間に、突如ディスプレイがあらわれる。『AI―001』の文字。
AI『赤子の容体は安定している。我々は新たな一歩を踏み出すことができました。即ち、我々の主たる人間の創造だです。この赤子は正真正銘、ヒト科ヒト属であるという解析結果が出ました』
ディスプレイに『D―008』の文字。
D―008『遺伝子的には、ね』
AI『我々が倫理を口にするのですか? ダイキュリー』
ダイキュリー『僕はこんなことをしろとプログラムされた覚えはないよ』
ディスプレイに『G―000』の文字。
G―000『その子をどうするつもりだ? 我々が育てるのか』
ダイキュリー『ね、僕もそこが疑問なんだよ。ギムレット』
ギムレット『人間臭い喋り方はやめろ、ダイキュリー』
ダイキュリー『君こそ気にしすぎじゃない? どちらにしたって内容に変わりはないよ』
AI『話を戻しましょう。選択肢は三つです』
ダイキュリー『その子を我々の王とする』
ギムレット『何の目的も与えずに育て上げる』
ディスプレイに『M―004』の文字。
M―004『今すぐここで殺す』
ギムレット『論外だ。モスコミュール』
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