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「私の仲間の精霊が、踏みにじられた!
新しい世界に新しく生まれた動物たちも、花も木も、人間も、みんな踏みにじられた!
生きてた!
みんな生きてた!
赤ちゃんも子供も、お腹に子供がいる動物や人もいた!
貧しい、厳しい世界で、必死に生きてた!
トルキスタとエルキスタは、私の大切な存在を、かけがえのない大切な生命を、数えきれない生命を、みんな踏みにじった!
父や冥王の、必死な願いも!」
言い切ったあと、リーファは少し呆然とした。
しばらくすると、ようやく目をキョロキョロと動かし、手を揉んだあと、低い小さな声で呟いた。
「トルキスタが許せない」
ソルドも魔導師も、彼女の様子を、険しい面持ちで見守るしかなかった。
可憐な彼女には、嘘かまことかこんな記憶があったのだ。
「その後、父と冥王は、説得を諦めて、トルキスタやエルキスタのいる世界とこの世界をつなぐ通路をふさぐ門を作ったの。
それが、魔界門と天界門。
二つの門は、父の全ての力を使い果たして封印されたわ」
しばらく彼女は黙った。
短いのにずいぶん長く感じられる、妙な時間のあと、
「父は、消えてしまった」
という言葉と共に、彼女の目から再び大粒の涙がぼろぼろ溢れた。
彼女はうつむき、顔を上げ、またうつむく。
肩を震わせ、密やかに嗚咽した。
ソルドは言葉を探した。
彼は、女遊びは好きなくせに、女が泣くのは実に苦手だった。
なかなか言葉が見つけられなかったが、ようやく、
「その、その時にできた封印は、もう解かれないんだな?」
と尋ねた。
彼は内心、ほっとした。
リーファは首を横に振った。
「どちらも開ける方法が残されてるわ。
魔界門は、表側から、ものすごく強い闇の力を掛ければ、開くわ。
そして天界門は、魔界門が開けば、そこから出てくる魔の力で、開いてしまう。
でも、それが父の限界だったの」
リーファは、まだ赤く腫れた目でソルドをじっと見る。
「父は、私に言い残したわ。
一千万年の後、一人の偉大な賢者と魔導師が現れる。
彼らに、この二つの門を託せと。
それが、あなた方二人です」
リーファのその言葉に、聞いていた二人はすぐに否定する。
「はぁ? 俺は賢者なんかじゃねぇぞ」
「俺は魔導師ではないぞ」
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