神話

12/12
前へ
/12ページ
次へ
 その問いには、リーファはすぐに答えた。 「魔界門は、ザナビルク。  ザナビルク大聖堂のある、地下深くよ。  計り知れないほど強い闇の力と共鳴して、地上に現れる。  天界門は、魔界門から真南、真夏の太陽の南中に、太陽を隠すように、魔界門と共鳴して現れるの」  ソルドはその説明を聞いていた。 ザナビルクというのはわからなくもない。 何と言ってもトルキスタ聖教最大の聖地だ。 何か重大なものがあっても、あながち不思議ではない。  が、疑問に突き当たる。 「ちょっと待て、お前さっき、強い闇の力があったら、魔界門は開くって言ってなかったか?」  するとリーファは、首を縦に振ってしまった。 「全然駄目じゃねぇか。  強い闇の力が掛かったら、門は両方開いてしまうんだろ?  門を地下から引きずり出して、開きました、はいおしまい、ってんじゃ、話にならねえよ」  ソルドは呆れてしまう。 リーファも困った顔をして、 「そうね」 と言ったまま、黙ってしまう。  ソルドも次の言葉がない。  そこへ魔導師が横から、実に強い軽蔑を込めた調子で口を挟む。 「馬鹿め、トルキスタの力があれば、封印はできる。  そんなこともわからぬ馬鹿に、どうして俺の封印術式が劣っているのだ。  大体において馬鹿なハルバンが作ったこの世界は、不条理に満ち溢れ過ぎているのだ」  そう言う魔導師の言葉の意味が、ソルドにはピンと来ない。 だが、リーファには、魔導師の心が見える。 「トルキスタの、奇跡?」 「当然だ、本当に貴様は馬鹿だ」  魔導師は勝ち誇ったような侮蔑の言葉を、ずいぶん長い間、ひたすら並べ立てた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加