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「もう諦めてよー!」
息を切らしながら男達から逃げる私は、向かいから歩いてくる1人の男に気が付いた。
「助けて下さい…!」
追ってくる男達と同じような、腰に刀を着けた古風な格好をした男の人だったが、今はそんな事を気にしている余裕もない。
人を見つけた安心感からか、私はその人の元へ辿り着くと、膝を地につけてその場にヘタレ込んだ。
「後ろに下がっていてください。」
どうやらこの人は悪い人じゃなさそうだ…。
しかし、よくよく顔を見るとかなりの美形で女の人のような顔つきをしている。
助けをお願いしといてなんだけど、あまり強そうに見えない。
色白いし、細いし。
「あの……、大丈夫なんですか…?」
私は不安気な表情で問いかけたが、男は意外にも余裕そうな表情で私にニコっと笑いかけた。
「大丈夫ですよ、僕結構強いんで。」
これはこれは…。
自分で自分の事を強いと言う人間は、バカか天才かのどちらかに分かれる。
この人がバカじゃない事を切に願うわ…。
「ゼェゼェ…やっと追いついたと思ったら……、なんだテメェ?」
やがて私を追いかけて来た男達も立ち止まり、刀に手を添えてコチラを睨みつけてきた。
「女一人に男二人とは随分と格好が悪いですね。」
「あぁ?テメェは自分がどうゆう状況にあるかわかって言ってんのか?」
男達は鞘から刀を抜き、私を庇ってくれている人に刀を構えた。
確かに二人相手じゃ分が悪い…。
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