紅い石段

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わがままを言いつつも、しょっちゅうぼくの跡をついてきたりしてい たところを見ると、ガンちゃんはぼくらと友だちになりたかったんだ ろう。 けれど、ぼくもはるちゃんも、ガンちゃんが大きらいだった。 消えてくれればいいのに、と思っていた。 ある日の夕方、ぼくとはるちゃんはガンちゃんを連れ、神社へとやっ てきた。 子どもなりに考えた精一杯のウソでガンちゃんをその気にさせた。 「三人で手をつないで階段をのぼっていったら、何でも欲しいおも ちゃもらえるんやって」 そうしてぼくとはるちゃんはそれぞれガンちゃんの両手をつないで、 一段一段階段の上を歩いていった。 いくら日が暮れ始めているとは言え、夏真っ盛り。 おとなでも疲れてしまう場所が小学校低学年の子どもにとって大変で ないわけがなく、途中でガンちゃんは何度も足を止め「もういや!」 「疲れた!」「おもちゃいらん!」とぐずった。 その度にぼく達は、やれ秘密基地の場所を教えてあげるとか、隠して いたおかしを全部あげるとかデタラメを言って、ガンちゃんのやる気 を削がないよう、そしてその手を絶対にはなさないよう、必死だっ た。 じっとりを汗をかきながら一段一段ころばないようにしっかりとある き続け、ようやくぼくらはてっぺん、五十段目までたどり着こうとし ていた。
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