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何をするにも、アオイはレイジに劣等感を抱いていた。
だからといって、別にレイジの事が嫌いなわけではない。
わけではないのだが……、二人一緒にいると、どうしても二人の差がハッキリ浮き出てしまう。
それを第三者が見た時に、その他人の中で比較され、格付けされていると思うと、アオイはそれがとてつもなく惨めなように思えてならなかった。
つまり、アオイは“自分がレイジよりもあらゆる面で劣っていると他人から認識されている”とアオイ自身が認識してしまうことが嫌なのだ。
だから、なるべく一緒にいる機会を減らしているわけで、先のメールの件も、席の件もそういうことなのだ。
「ハァ……、ったく」
と、レイジが呆れたように溜め息をついた。
「まぁレイジ君。アオイ君だって知らなかったんだから、仕方ないよ。ね?」
ヒョイとレイジの後ろから顔を出したのは、レイジの幼馴染みの呉葉ユズルだった。レイジとは小さい頃から仲が良かったらしく、よくアオイを含めて三人で行動をしているのだが、本人の性格が明るく、外見もボーイッシュなため、どのグループとも仲がいい。
そして、アオイが最もレイジと比較されていると認識している、避けたい一人でもある。
……まぁ、そんなことを考えてしまう自分の矮小な心が、一番嫌いなのだが。
「あ、うん。……二人はこの後どうするの?」
「オレらは、いつものカフェで今のレポート仕上げっかなと」
いつものカフェ……とは、ノア工科専とアオイ・レイジの寮の丁度中間地点にある前近代風の内装をしたカフェ“ソレイユ”のことだ。
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