26人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
僕はノートをぱたんと閉じて、ベッドの中に入った。そうして僕は、まるで「彼」のように窓の外を見上げて思う。
これは、本当のことなんだろうか?
こんなふうに、僕という人間が生きているということが。
実は、誰かがノートに記した、他愛のないお話のひとつかもしれない……。
除き穴のようなまるい月に、それでもいいと、僕はうそぶく。
この物語がいつ終わるか、あなたがどんな物語を望んでいるか、僕は知らない。
それでもきっと、あなたに「明日」を書かせてみせる。
何の意味もないかもしれない日々にしがみついて、あがきながら、もがきながら、みっともないくらいに堂々と、嘘の中を進んでいこう。
絶対に遅刻できない明日に備えて僕は。
携帯のアラームをかけ、結婚式の段取りを反芻しながら眠りに就いた。
end.
最初のコメントを投稿しよう!