『 応接間の殺人

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僕はノートをぱたんと閉じて、ベッドの中に入った。そうして僕は、まるで「彼」のように窓の外を見上げて思う。 これは、本当のことなんだろうか? こんなふうに、僕という人間が生きているということが。 実は、誰かがノートに記した、他愛のないお話のひとつかもしれない……。 除き穴のようなまるい月に、それでもいいと、僕はうそぶく。 この物語がいつ終わるか、あなたがどんな物語を望んでいるか、僕は知らない。 それでもきっと、あなたに「明日」を書かせてみせる。 何の意味もないかもしれない日々にしがみついて、あがきながら、もがきながら、みっともないくらいに堂々と、嘘の中を進んでいこう。 絶対に遅刻できない明日に備えて僕は。 携帯のアラームをかけ、結婚式の段取りを反芻しながら眠りに就いた。 end.
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