42人が本棚に入れています
本棚に追加
村田さんは抵抗するものの、チンピラの力にかなうはずもなく、連れていかれる。
全く、最初から素直に連れていかれていれば俺が殴られることもなかったのに。
真っ青な空を見上げながらそんな最低なことを思う。
第一、こういうのは普通イケメンとか強い主人公がフラグを回収するものであって、落ちこぼれな俺とは無縁なものなはずなんだよ。
きっとフラグ神がフラグを立て間違えたに違いない。
どっちにしたって俺みたいな雑魚に村田さんを救うことなんてどうやってもできないんだよ。
そう結論付けて、チンピラと村田さんが立ち去るのを見送ろうとする。
ここで俺はあることに気づく。
村田さんが俺の方を見て、悲しそうな笑顔を浮かべていることに。
それはまるで巻き込んでごめんなさいとでも言いたげな顔だった。
はあ、だったら最初から俺に助けなんて求めるんじゃねえよ。
そして俺の中で怒りがこみあげてくる。
その怒りは村田さんに対するものでもチンピラに対するものでもない。
自分に対する怒りだ。
本当はいつも助けられているってわかっていた。
でもガキな俺は変なプライドか何かが邪魔して素直にそれを受け入れられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!