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「確かに申し込みの予約は申し受けました。
まあ、分かってらっしゃるとは思いますが、うちの施設も満員で欠員が出来次第順次受け入れになります。
待っている方は、約9000人。
申し訳ありませんが、この高齢化社会で施設に入所できる人はほんの一握り…。
期待にそえることは困難かと…。
うちとしても心苦しいんですが。」
特別養護老人ホームの事務員は予約の申し込み用紙を持ったまま椅子から立ち上がった。
「ここで、11軒目なんです!何とか直ぐに入所させることは出来ないんでしょうか?」
必死の想いで事務員に切望する婦人。
「…三ヶ月。後はそちらに全てお任せします。」
婦人は、厚みのある茶色い封筒を机の上に置いた。
事務員は再びソファに座り直すと両手を顎に乗せ、婦人の顔を覗きこんだ。
「合言葉は?」
婦人は腹を決めたようにまっすぐ事務員を見据えてゆっくりと口を開いた。
「赤ずきんちゃん!」
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