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「おばあちゃん、着きましたよ。」
職員は、タネ子の体を支えながら施設に常備している車イスに乗せた。
車イスに乗せられたタネ子はしあわせの家の中に入って行った。
タネ子が連れて来られた所は、施設の一番奥にある赤い扉の部屋だった。
「おばあちゃん!良かったね。
この扉のむこうから、おばあちゃんは生まれ変われる。
ここからは、この子がおばあちゃんの世話をしてくれるからね。」
赤い扉の部屋の中から赤い頭巾を被った可愛らしい女の子がタネ子を迎え入れた。
痴呆が少しずつ進んでいたタネ子は何処に連れられているのかも解らぬまま、部屋に連れて来られた。
そこには女の子の他に白い白衣と白いマスクをした人が5人、タネ子を迎え入れた。
「おばあちゃん、こんにちは。
良くいらっしゃいました。
大丈夫ですよ、痛いことはしませんから。」
白い手袋をつけたまま、車イスからベッドに寝かせつける。
天井は、手術室にあるような移動式のライトが眩しく光っていた。
ベッドに備え付けのベルトがタネ子の手足を固定する。
頭には目隠しのようにカプセルの蓋が下りてくる。
拘束されたタネ子は、訳がわからぬまま暴れ出した。
「真鍋タネ子さん、大丈夫ですよ。
ゆっくり休んでください。
明日には、新しく生まれ変わったタネ子さんに会えますから。」
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