しあわせの家

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タネ子は、ゆっくりと目を覚ました。 「おはようございます。ご気分はどうですか?」 白衣を着た人が優しく声をかける。 「思った通り、タネ子さんは美人だったんですね。」 タネ子は自分の身に何が起こっているのか此処がいったい何処なのか何も分からない。 「起き上がれますか?」 タネ子は白衣の人に手を引かれゆっくりと体を起こす。 いつもより体が軽い。 白衣の人はタネ子を大きい鏡の前に連れて行った。 「…!」 鏡に写った姿にタネ子は愕然とした。 「どうですか?新しく生まれ変わったお気持ちは…。」 鏡はどう見ても20歳後半か30歳くらいの女性の姿を写し出していた。 「私は…。」 鏡を見ながら、タネ子はシワのない張りのある肌を手で触り始めた。 「日本の医療の最先端、私達研究員は、人間の細胞分裂を最大に早めることに成功しました。 その結果、その開発された薬によって老人を若返えらせる事が可能になったのです。 安心して下さい、これまで4500人の人がこの処置を受けて若返えっています。」 白衣の人はタネ子のそばに赤い頭巾を被った女の子を連れてきた。 「これからの貴女の世話は、この子がいたします。」 「おばあちゃん、よろしくね。 ゴメンなさい。もうおばあちゃんじゃないよね。 タネ子さんはこれから若返った体を使って働いてもらいます。 日本は、この高齢化社会の歯止めに失敗して著しい労働者不足、そして経済の危機に貧しています。 そこで、若返りの薬の開発の成功に伴いモデルとして先駆けて5000人のモニターを密かに募集しました。 タネ子さんもその一人です。」
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