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「分かりました。働きましょう。」
「ただし、ひとつだけ条件があります。
今日から三ヶ月後には、一度必ずこの場所に帰って来てください。
今日が、4月3日ですので7月3日に帰って来てください。
一分でも一秒でも遅れたらダメです。
7月3日の内に必ずです。
約束してもらえますか?」
あまりの念の入れようにタネ子は緊張しながら黙って頷いた。
「忘れないように、三ヶ月分の日捲りを渡しておきます。
これを毎日捲って破りながら、日付を確認してください。」
タネ子に日捲りを渡すと赤い頭巾の女の子がタネ子を誘導して歩き出した。
「これから、タネ子さんが生活する家と職場に案内します。」
赤い扉の部屋を出て、突き当たりの左側に地下に降りる階段がある。
女の子がその階段を降りていく。
降りきった所から長い長い地下廊下が現れた。
靴の音を天井に響かせながらその長い廊下を歩いていく。
500メートルくらいあるだろうか…長い廊下を渡りきると、外に出ることができた。
外から見上げると丘の頂きにお城のような建物が見えた。
「覚えておいて下さい。今、山の上に見えているのが貴女が帰って来ないといけない
貴女が住んでいた町のしあわせの家です。」
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