ちょっと、そこまで、

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私は小説家だ。と、最初に書き記すことを許してほしい。いや、単純に私のキャラクター、プロフィールというやつを書きたかった。 いわゆる私の特徴的な部分を上げただけだ。本来だったらここに『自称』小説家とひっつけなければならない。これ以外に特技がなく、ただ、これだけが特徴な私なのだからまっさきに語りたかった。正直に言えばこれ以外はほとんど能なしな奴ということなるし、どころか、この小説家とう宛名すらものすごく微妙だ。 自称ということで勘のいい人には気づいているかもしれないけれど、私はデビューしていない小説家、いわゆる小説家『もどき』という奴なのだ。 小説を書いているのだから、小説家と言えばいいとは思うけれど、そんな暴論は私が許せないのだ。なれてもいないくせにその名をなのることが許せないのだ。語ることは好きだけれど、嘘つきにはなりたくない。物語というのはフィクションなんだからそれは突き詰めれば嘘になるかもしれないが、やはり嘘は尽きたくないものだ。なるべくリアルに忠実に書きたいという素人の意見である。 語ることは好きだけれど、騙ることは嫌いなんです。なんて、言葉遊びをしてみたり、だからというわけではないないけれど、ここから書き綴る物語をどうか読んでほしい。私が体験した物語を読んでほしい。つたないながらも書き綴る物語に一言でもいいから面白かったと言ってもらえるのなら幸せなことはないし、たぶん、ここが私の唯一の見せ場なのだと思う。 閑話休題。 という言葉を物語の中で一度は使ってみたいものだと思いつつ私はさっそく使ってみる。閑話休題、本題に戻す。さておいてという意味である。まぁ、さておいてだ。 その日は夏の暑い日だった。夏なんてここ数年、うっとうしいくらいに暑いがそのときは特に暑くて、目の前に置いていたパソコンを見て驚いた。 画面いっぱいに『あ』で埋め尽くされていた。わかりやすく表現するなら、 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ と、こんな感じだった。軽くホラーだ。めちゃくちゃ驚いた。
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