プロローグ

2/3
前へ
/12ページ
次へ
新学期。 学生達が新たな出会いに胸を踊らせ、新鮮な気持ちで迎える時期。 そんな中、新しくクラス替えもあり、三日も経てば各々の役割が決まってくる。 さらりと流れる黒髪を一つに束ねているのが特徴的な彼女の役割は、委員長だった。 水野玲奈。 その可憐な容姿で男子からの人気は然る事ながら、持ち前の正義感の強さで女子や教師からも信頼を集めていた。 まさにクラスの長に相応しい人材だ。 「先生、あの席は誰の席なんですか?」 放課後、委員長の仕事をこなしている彼女の、透き通った声がクラスの担任に向けられる。 彼女の白い指が示したのは後ろの窓際にある空席。 それを見た担任は思わずというように眉をひそめ、あぁ、と呟いた。 「あの席は、柏崎の席だよ」 「柏崎?」 気まずそうに、担任は口を開く。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加