1人が本棚に入れています
本棚に追加
「柏崎透だ。当時は柏崎のクラスの担任だったんだがな……。色々あって、もう三ヶ月以上は学校に来ていないんだ」
「不登校……ですか」
彼女はそう言うと、俯いて考え込む。
そして、そのまま口を開いた。
「先生、その……柏崎、という人の住所を教えてくれませんか?」
「は……?」
担任は暫く唖然としていたが、彼女の言葉を理解すると真剣な顔をして言った。
「あのな、水野。俺は何度も柏崎を説得したんだ。だが頑として柏崎は……」
「柏崎という人の住所を教えてくれませんか?」
担任はさっきよりも語尾を強めて問いかけられ、説得を諦める。
「はぁ……。言っとくが、いくら水野でも無理だと思うぞ」
「大丈夫です。私ですから」
「あのな……」
担任は二回目のため息をつくと、言った。
「柏崎の住所は――」
最初のコメントを投稿しよう!