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ーーーサバンナに氷のドームが出現した。
それは、現代のお伽話ーーーー
ドームの中には二層のスケートリンク。
観客の子供たちは忙しなく天井や自分たちを取り巻く壁を見ている。
分厚い氷の外は赤土と立ち枯れた草。
地平には動物達のシルエット。
目を閉じればありありと思い出せるのに。
頼人は、リイの手に白い息を吹きかける。
寒さに慣れていない彼女は、それを不思議そうに見て、自分の息も確かめた。
そしてニコニコと、頼人の手に吹きかけた。
「リイ、息が温かいなんて知らなかったぞ」
「黙って、もうショーが始まる」
照れ隠しだったが、程なく蒼暗いスモークが満ち、プラチナブロンドの男が舞い降りた。
彼が手をかざすとドームの半分に凍て風が吹いた。
その氷の目を見た時にゾクリとした。
これは、本当にショーなのか……?
彼が舞うと上階の氷が雪になる。
氷帝プルシェンコ。
魅入られたようにリィが立ち上がる。
キラキラとした氷の欠片がリイの髪に光った
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