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「待ってリイ、行っちゃダメだ、何かおかしい」
一瞬リイの目に光が戻った。
ところが伸ばした手は吹雪に遮られ、目を再び開けた時にはリイは氷帝の腕に閉じ込められていた。
「リイ?」
氷帝が耳に息を吹きかける。
「よくぞ来た、太陽の子。
まずは耳から凍らせようか。あの小僧が気にかかるなら氷像にして飾ってやろう」
ドーム内にブリザードが吹き荒れる。氷の龍が壁にあたり暴れ回るような重力を無視した風の暴力。
「リイを離せ」
頼人はサボチカを握りしめた。
氷帝の口元が綻ぶ。
「それは、持っているだけでは役に立たぬ。
この男は氷に愛されていて居心地がいいのだが……
お前がそれを使うなら、私も本性で相手してやろう」
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