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氷帝が指で示すだけで氷のナイフは真っ直ぐに向かってきた。
一撃目は交わしたが、二度目は反応が遅れた。
頬に朱が走っている事だろう。
くったりと意識を失っているリイを見て、頼人は唇を噛む。
サボチカに手をかけたその時、
視界が白くなった。
「ふうん、面白いですね。『妹の力』とは」
黒い髪、涼しげな黒い目。
神主のような白い直衣姿の彼は、ひらりと袖を翻し氷の上で孤を描いた。
「君は……?」
「同じ日本人さ。あの悪魔を追っていた。
ユズと呼んでもらって構わない。
あいつは僕が戴くよ」
氷帝の氷が止まっている。
ユズが氷を削り、陣を描いたのだ。
それによって 結界が立ち上がった
「ひい、ふう、み、よ、いむな、や、ここの、たる……」
氷帝が目を見開いた。
「待て、それは……」
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