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「ぼくは、もう何年も旅をしてきました。ある目的を達成するために――。でも、何度もくじけそうになりました。そして今また、あの高い山を見て、とても行けそうにないとも感じています。実は迷っているんです。行くべきか、行かざるべきか……。魔物に勝てるのか……」
初対面の人間にその胸の内を明かしたのは、孤独な長旅の疲れからだろうか……。どんなに苦悩していても話す相手もおらず、一人悩み、迷い……。
どこか自信のなさげな口調が、風吹く水面に映る影のように揺れ動く意志を物語っていた。
「ここから先はまだまだ長い。少し休んでいきなされ」
老齢の男は薪を割る切り株にすわるようすすめた。
「ありがとうございます」
少年は素直に従い、切り株に腰を下ろした。もらったばかりの水を少し飲んだ。
「暇つぶしに昔話でもしよう。なに、年寄りのたわごとだと思って聞いてくれればよい」
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