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「何がわかるの…?」
陽香は唇を噛み締め、手を強く握り締めながら地面を見つめる。
「陽香サン、ずっと笑ってないよね」
陽香は小さく肩を揺らすが、何も言わない。
「自分でも覚えてないでしょ?最後に笑ったのはいつか」
ショウは陽香を見るが、俯いているためにその表情は伺えない。
陽香は小刻みに震えながら、やっと小さく言葉を返す。
「どうやって笑えばいいのか分からないの。お母さんがいなくなってから、ずっと。心配、かけたくないのに…」
陽香が顔を上げる。その目は涙が溢れそうなくらい潤み、頬は紅潮していた。
「それでも、見つけられるの?私が、候補者でいいの?」
ショウは両手で陽香の肩を掴み、しっかりと目を合わせる。
それは今までで一番真剣な表情だった。
「俺は、陽香サンが一番紲那に相応しいって信じてる。俺が絶対に君を笑顔にしてみせるよ」
だから、とショウは続ける。
「俺と一緒に、やって欲しい」
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