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陽香が正式に候補者になってから、初めての週末。
陽香はショウに呼び出され、駅前のベンチに座って待っていた。
「10時って言ってたのに遅いなあ」
時計は10時半を指そうとしている。
陽香が諦めて一旦帰ろうとした時、誰かに肩を叩かれた。
「ショウ…」
「ごめんね、ちょっと用事があったんだ」
陽香が振り返ると、ショウが両手を合わせて謝るポーズをしながら、爽やかな笑顔を浮かべていた。
「別にいいけど、わざわざこんな人目に付くところで、何の用?」
ショウの金髪碧眼はこの国ではかなり目立つ。その上ルックスも悪くないので、陽香は先程から周りの視線が気になっていた。
「外国人さんだよ!カッコイイね」
「でも日本語普通に話してたよ。ハーフかな?」
そんな会話が耳に入り、すぐにでもその場を離れたい衝動に駆られるが、グッとこらえる。
それに対してショウは全く気にしない様子で続ける。
「陽香は晴れて候補者になったんだからさ、一度今の紲那に会っておいた方がいいと思うんだ」
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