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一方陽香は笑ったり感心するのではなく、ショウを冷ややかな目で見る。
「確かにすごいけど、その手は何?」
「手繋ぐ?迷子にならないように」
ショウは小首を傾げて、ほら、ともう一度手を差し出す。
金髪碧眼で、大声で笑い、手を堂々と差し出すショウは、今や注目の的。
「私は方向音痴じゃないから」
恥ずかしくて到堪れなくなった陽香は、ショウの手を見なかったかのように無視をして歩き出す。
ショウは陽香を見て、やれやれといった様子で肩をすくめてから陽香の横に並んで歩く。
「ところで、紲那様ってどんな人?」
陽香は何気なく訊ね、軽く返されるであろう返事を待ったが、ショウは陽香の想像とは裏腹に腕を組んで悩み出す。
「うーん、変な人だよ。あとは史上最強の紲那って言われてるかな」
史上最強の紲那で変人なんて、どんな人なんだろう、と陽香は期待に胸を膨らませる。
それから間もなく、ショウが足を止めて陽香の方を向いた。
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