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「うん、候補者なら練習すれば手に入れられるよ。今度教えてあげるね」
よろしく、と陽香が言おうとしたその時、ドアの向こうから、ガシャンとガラスが割れるような大きな音が鳴った。
陽香とショウが顔を向けると、そこにはクセのある薄紫の髪と、同じ色の瞳を持った可愛らしい雰囲気の人が立っていた。
「シ、ショウ!!なんでここにあなたが!?」
その言葉は明らかに日本語ではなく、陽香の知らない言語だったのにも関わらず、陽香はそれを聞き取ることができた。
陽香が耳に手を当て首を傾げていると、ショウが自分の紅いピアスに指をさす。
「このピアス、すごい便利なんだよ。通訳機能もある。他の機能についてはまた説明するね」
「そうなんだ」
陽香が頷くのを見ると、ショウは笑顔で頷き返してから、目の前の人物に向き直る。
「久しぶりだね、ラキア。元気だった?」
笑顔のショウとは対照的に、相手は眉を吊り上げて口を尖らせた。
「ええ、元気でしたよ。さっきまではあなたがいなかったので」
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