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「あはは、よかった」
嫌味が全く通じないショウの態度にラキアは顔をしかめる。
そこでようやくラキアは陽香に気づき、笑顔で会釈する。
「…候補者ですか。見苦しいものをお見せしてすみませんね。私はラキア・クロックです」
態度の豹変ぶりに驚きつつも、陽香は慌てて会釈し返す。
「私は陽香、出水陽香です。よろしくお願いします、ラキアさん」
「ちなみにラキアは紲那のパートナーだよ」
ショウがさらりと言った一言に、陽香は目を見開く。
「この人が紲那様じゃないの?じゃあ紲那様はどこに…」
ラキアは、キョロキョロと周りを見渡している陽香の腕を強く引く。
「御案内いたします。そこの変人は放っておいて行きましょう」
「え?あの…!」
助けを求めるようにショウを見るが、肝心のショウは苦笑いをしているだけだった。
陽香が為すすべもなく引っ張られていると、上から柔らかい声が降ってきた。
「ラキアはショウに厳しいな。まったく、困ったものだ」
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