61人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日の夕刻、出水陽香(イズミハルカ)は学校から帰途に就いていた。
すると、突然後ろから何者かの気配がした。
「あの、すみません」
「え?」
振り返ってみるが、その先には誰もいない。
陽香が驚き、なんだったのだろうと悩んでいるともう一度声が聞こえた。
「そこじゃなくて、上だよ」
「へ?」
陽香が言葉通りに視線を上へ向けると、一瞬呼吸を忘れてしまった。
人が宙に浮いていたからだ。
勿論のこと、ここは魔法の世界でもなければ、人が飛べるなどという科学技術があるわけでもない。
今自分は夢でも見ているのだろうか、と頬を思いっきりつねる。
「っ!痛い…」
「プッ!!アハハッ!面白いなー、君は」
どうやら夢ではないらしい、と陽香が思案していると、目の前の人が突然笑い出した。
その様子に少しの羞恥と怒りを覚える。
「何なんですか?いきなり。あなたは何者?」
「なんだと思う?当ててみて」
質問を質問で返され、陽香は戸惑う。
最初のコメントを投稿しよう!