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とりあえず何かを答えなければ、と錯乱した頭で精一杯考える。
「じゃあ、幽霊?私幽霊なんて信じてないけど」
陽香が真剣な顔でいうと、その人はニコリと笑い、人差し指を自分の顔に持っていく。
「うーん、当たらずとも遠からずって感じかな。俺はね、元人間なんだ」
精神科に連れていくべきだと思うほどに意味不明なことを言い出したので、陽香は訝しげに相手を見る。
金髪、少し垂れ目の碧眼、男で、年齢は19、20歳といったところ。
左耳に小さなピアス、首元にはシルバーのネックレスをつけていて、少しだけ軽薄そう。
誰が見ても今どきの、日本語が上手な少しカッコイイ人間。どこにも『元』なんて要素は見当たらない。
「何かの詐欺ですか?悪いけど、騙してもいいことなんかないですよ」
あまりに怪しい彼にキッパリと告げると、彼は笑みを浮かべて陽香の目の前に降り立った。
「詐欺なんかじゃないよ。紹介が遅れたね、俺はショウ。出水陽香さん、君に話があるんだ」
そう言うと、彼は軽く礼をする。
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