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「博士、食べる物を。確か、朝食のパンが残っていたはず」
「そんなもの、赤ちゃんは食べられないよ。かといって、ミルクか……あったかな?」
「ミルク?」
NOZOMIは、食糧庫へ向かう博士の後をついて行く。
自分は数多くのことを知っている。
博士が自分を創る際に、様々な知識を埋め込んでくれた。
しかし、分からないのだ。
経験のないことを彼女はすぐにできなかった。
「君が子守りなんて」
「こもり?」
「あ、よかった。あったよ」
博士は疲れた顔で微笑み、雑に積まれた乾パンやドライフルーツの合間から粉ミルクの缶をNOZOMIに見せた。
もうこの地下では新しい人間はできないが、日持ちのする食料だけはここに届くのだ。
続けて彼と赤ん坊を抱いた彼女は、備品室へ足を向けた。
ここでも、博士の片付け無精が災いしていた。
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