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インターネットの画面を閉じ、シャットダウンする。
ノートパソコンの隣に置かれたルーズリーフには、植物園の最寄り駅とバス停、どこかのサイトのURLがメモされていた。
あまり遅くまで話していると一階に声が響いてしまうので、仕方なく今日は寝ることにした。
パジャマに着替え、二段ベッドの上の段に梯子(はしご)を使って昇る。
「おやすみ」
下で毛布にくるまっている弟に声をかける。本当はもう少し色んなことを話したかったけれど、もうすぐ日付が変わる時間だ。
明日にしようと気持ちを切り替え、薄手の毛布に潜り込む。
「うん。おやすみ」
そうは思ったものの、なかなか眠くならない。
疲労で体は重いのに、妙に目が覚めてしまっていた。
寝返りをうつたび、ベッドが軋んで小さく音を立てる。
「姉ちゃん」
不意に、下から小声で涼が私に呼びかけた。
「どうしたの?」
「もしさ、お父さんが誰かに呪われたせいで病気になったんだとしたら、どうする? あのブログみたいに」
てっきり涼は「呪い」なんて信じてないものだと思っていたから、予想外の質問に少し驚く。
「どうするって……急に言われても、すぐに思いつかないよ。アンタはどうするの?」
尋ね返すと、涼は「そうだね」と呟いた。
「……もしお父さんが死んだら、必ず犯人を突き止めて、何年かかってもそいつを同じ目に遭わせるつもり」
いつもの口調でさらりと言われたため、一瞬、弟が何を言ったか理解できなかった。
「涼?」
「じゃ、今度こそおやすみなさい。疲れてるだろうし、姉ちゃんも早く寝た方がいいよ」
カタカタと、少し強い風が窓を小刻みに揺らす音が、静まり返った部屋に響く。
涼や葵さんの言葉や、掲示板やブログに書かれていたことが、ぐるぐると頭の中で渦を巻く。どれだけ考えてもまとまらず、次から次へと不安ばかりが沸いてくる。
「……………………」
不吉な想像を振り払うように目を固く閉じると、鳴渡浜で見た化け物が瞼に浮かんだ。
眠ろうとすればするほど、じりじりと目が冴えてくる。
結局、私が眠れたのは明け方近く、空が白み始めた頃だった。
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