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ブラインドの隙間から日光が差し込み、白い部屋を照らす。
九条さんは口を開こうとはせず、アイスティーを少し飲むとグラスを置いた。
部屋の中はそんなに熱くない。むしろ少し涼しいくらいなのに、頭皮や背中がじわじわと薄く汗ばんでくる。
「一昨日、お父さんのベッドの下から“青色の”フォーチューンドールが見つかりました」
姉ちゃんの足元に置かれたカバンに手を伸ばす。一瞬、姉ちゃんはビクッとしたけれど、すぐ僕の目的に気づいてカバンから青のクリアファイルを取り出した。
「最初はお見舞いに来た人の落し物かと思ったんです。でも、フォーチューンドールにはべったりとガムテープがくっついていて。病室のベッドの下にマスコットが落ちてるのは自然ですけど、ガムテープの切れ端までついているのは不自然です。その二つが偶然くっついたと考えるより、ベッドの裏側に人形がガムテープで貼り付けられていたって考える方が自然じゃないでしょうか。これを読んでみてください」
ファイルから例のブログをコピーした紙をホチキスで止めたものを取り出し、九条さんに手渡す。
プリント用紙に視線を落すと、垂れ気味の目をすっと細めた。
素早く黙読しながら、ぺらぺらとページをめくる。
「…………これ、涼くんが見つけたの?」
「はい。ネットに匿名で書かれていることを真に受けるわけじゃないけど、最近起こった一連の出来事はちょっと異常すぎます」
紙から顔を上げ、赤い瞳でじっと僕を見つめた。
「九条さんにお話を聞きにきたのは、お父さんが誰かから呪われているのかどうか、判断したかったからです。僕らの考え過ぎならそれに越したことはないけれど、もし誰かがお父さんを呪おうとして、フォーチューンドールをベッドの下に仕込んだのだとしたら――――」
ファイルの端をぎゅっと握る。
部屋に差し込む太陽の光のせいか、九条さんの瞳は鮮やかな赤色に見えた。
「僕たちは絶対に、その“呪術”を阻止しなくちゃいけないんです」
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