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晩ご飯を食べ、お風呂に入って二階へあがる。
ノートパソコンを立ち上げ、インターネットに接続する。
九条さんから聞いた話の内容を調べ、例の掲示板やブログをチェックしていると、ガチャリと部屋の扉が開いた。
「何見てんの?」
半乾きの髪の毛をタオルで拭きながら、隣で画面をのぞき込む。
途端に、姉ちゃんは顔を引きつらせた。相変わらず、思ったことがすぐ顔に出るタイプだ。
「げっ……何でこんなの見てんの?」
「更新されてないかと思って」
鳴渡浜の話題で連日、異様な盛り上がりを見せる掲示板とは対照的に、フォーチューンドールの呪術を記録した例のブログは、1月6日で更新が止まったままだった。
「…………このブログ書いた人も“呪詛返し”にあったのかなあ」
画面を眺めながら、姉ちゃんがポツリと呟く。楽天的な性格で、良くも悪くも無邪気な姉ちゃんの口から「呪詛」という言葉が出たことに、たとえようのない違和感を覚えた。
さあ、と相槌を打ち画面を切り替える。
姉ちゃんは僕から離れ、向かい側に座布団を敷いて座った。カバンから問題集やノートを取り出し、机に広げた。
「まだ宿題終わってないの?」
思わず尋ねると、姉ちゃんは決まりが悪そうに口ごもった。
「う……ちゅ、中学生は連休明けにテストがあるの!それに、あと少しで終わるもん!」
夏休みの宿題を8月31日の深夜に終わらせる計画性の無さは、中学生になっても健在だった。
静かな部屋に、シャーペンを走らせる音がかりかりと響き始める。
余裕のない顔で問題集と格闘する姉ちゃんを片目に、パソコンをシャットダウンさせた。
「じゃ、僕は寝るから。頑張って」
「待って!ヒマならこれ手伝って!!」
「……あと少しで終わるんじゃなかったの」
「お願い!!」
切羽詰まった声で叫ぶと、僕に向かって漢字問題集を突き出す。
仕方なくパソコンを脇にどけ、問題集を開くと見事に白紙だった。
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