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だがその雪はトカゲの炎によってみるみる水へと変わる。
水蒸気が辺りに発生する中、トカゲはドヤ顔を決めて口を開いた。
「オレを凍らすことが出来るとでも思ったか? だが残念だったな!
オレとてめぇの力の差じゃあてめぇは一生オレにゃあ勝てねえぜ?」
「…果たしてそうかしら?」
「なに…?」
雪女は顰(しか)めていた顔を戻し、さらに冷笑を浮かべた。
ジュッ…
そんな音がトカゲの体から聞こえてきた。
「…っ!まさかっ!!」
「そう、簡単に言えば私が自身を燃やす炎を鎮火させたように貴様の炎も鎮火させようとしたのよ」
ジュッという音がその後立て続けに発生し、みるみるトカゲの炎を鎮火させていく。
「うっ…ぐ、あぁああああああああああああああああああああ!!!!!」
「貴様は炎を司る精霊…
だからいくら貴様が人間と体を一体化させたところで貴様は単純な弱点を克服することなど出来はしない。 雪は元は“水”なのよ!
貴様は未来永劫“水”という弱点から逃れることなんて出来ないのよ!!」
雪女は高らかにそう宣言した。
炎は水には抗えない。
炎は水によって鎮火される…
それは普通の子供達でも答えることの出来るごく普通の一般常識…
それは四精霊達にとってもごく当たり前のことであった。 それ故に、先祖代々炎の精霊サラマンダーは“水”という存在を恐れた。
そもそも四精霊というのは、その名の通り四種類の精霊がそれぞれ一つ、合計四つの元素を司っている精霊の種類の総称である。
その中の一つが炎を司る精霊サラマンダー。
四精霊は“炎を吐く”というような間接的特殊攻撃の技しか発達させておらず、その分“殴る”だとか“蹴る”というような直接的物理攻撃の技を発達させていなかった。
それ故に彼らが敵と戦う時は、全員が協力してそれぞれの弱点を補っていかなければ生き抜いていくことが出来なかったのである。
いつしか四精霊達の中でも時代の変遷とともに戦い方そのものを変えなければならない時が訪れ、戦い方そのものを変えるということを余儀無くされた。
そこで最終的に決められた結論というのが、一部の人間と接触を図り、彼らと一体化することであった。
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