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夜、それも深夜の2時を少し過ぎた頃…
皆が既に寝静まっているその時間に、一際大きな破壊音が二階の自身の部屋で携帯を触っていた少年の耳に届いた。
何事かとベッドの上でゴロゴロしていた少年は慌てて飛び起きる。
バリンッ!!という音から察するに恐らく破壊音の元は窓ガラス。
立ちくらみで頭が朦朧とする中何とか下の階へと下りた少年は、そこで思わず目を疑った。 なんと一階の電気が点いていたのだ。
他に家族の居る家ならそのような光景はさしたる問題でもないだろう。
だがこの少年は違っていた。
つい一週間前に両親はスイスに転勤、高校の入学を控えていた彼はそのまま一人暮らしをすることになった。
つまり、彼以外の人間が家に居るということ自体からまずおかしいのだ。
次いで少年はある仮説を立てた。
それは一階の電気が点いていたということについてのこと。
一つは自分が部屋に戻る前に一階の電気を消し忘れたのだということ。
だが少年はその仮説を立てた直後に「いや、それはないな。」と否定した。
何故なら彼は覚えているのだ、自分がちゃんと一階の電気を消したのだということを…
続いて思い浮かんだもう一つの仮説は、泥棒のような存在が外部から侵入し、金品を探す為に一階の電気を点けたのだということだ。
もちろんその仮説が合っていたとすれば、それはそれで相当マズいことになる。
まあなにわともあれ、今はそのような仮説を立てている場合ではない。
そう感じた少年はゆっくりと、だが確実に一階リビングへと向かった。
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