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少年がリビングに着いた時、彼は更なる異変に気づいた。 なんとリビングにあるテレビの電源が点いていたのだ。それも数秒おきにチャンネルが変わるといった具合に…
そこで少年は更に二つの仮説を立てた。
一つは今起きている現象が全て夢なのだということ。 これが本当に夢だったのならば、非現実的なことはとことん信じない彼でもある程度は納得が出来る。
もう一つは俄(にわ)かには信じがたいが、幽霊のような類いの霊的現象が現在進行形で発生しているのだということだ。
だがその仮説について彼は殆ど考えようともしなかった。 何故なら先のとおり、彼自身霊的現象などという非現実的なことなど初めから存在しないのだと高を括っているからだ。
確かにこの世には科学では証明出来ていない現象が幾つも存在する。
だがそれらの現象は人類の知恵と技術というものが足りていないだけで、ゆくゆくはそれらの現象でさえも全て科学の力で解決出来るようになる…そう彼は思っている。
そう、ゆくゆくは自身の体のことも…
少年は拳をキツく握りしめてその雑念を振り払うと、恐る恐るテレビの正面に置かれているソファへと向かった。
ソファまで行けばそこにはテレビのリモコンがある。 そしてテレビの電源を消した後、先ほど聞こえた破壊音のことについて調べるのだ。きっとさっきの破壊音は自分の聞き間違いなのだと、そう信じながら…
少年は忍び足でソファへと近づき、やっとのことでソファへとたどり着いた。
何故忍び足になったのか、それはもしかしたら彼の心のどこかで今起きている現象に恐怖心を抱いていたからなのかもしれない。
だが、本当の異常現象はここからだった。
少年はソファの上で起きている現象に思わず目を極限まで見開いた。
その光景はあまりにも非現実的だったから…
その光景がまるで漫画やアニメのような世界に分類されるような光景だったから…
少年は今が夜中なのだということをすっかり忘れ、今まで出したことのない大きな声でその現象に突っ込んだ。
「なんで…なんで山椒魚(サンショウウオ)がソファに寄りかかってお菓子食いながらテレビ観てんだよ!!」
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