第1話:少年と精霊

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その頃の大和はというと、彼は脳内で盛大なパニック状態に陥っていた。 (そんなバカな!こんな非現実的な現象、起こるはずがない!!…そうだ!きっと誰かが腹話術をやっているに違いない!!うん、きっとそうに決まってる!!……待てよ?それはそれでおかしくないか?じゃあこの非現実的な現象は一体なんなんだよ…!!) 暫く時が過ぎ、時計の針が2時半を伝えた頃、山椒魚は何かを決心したように大きく頷いた。 「よし太常大和、おめぇは今日からオレのパートナーだ!!」 「はあ!?」 「だ~か~ら…今日から!この瞬間から!おめぇはオレのパートナーだっつってんだ!なんか文句あるかコラァ!!」 「いやいや文句しかないだろ!! 言っておくが俺全然大丈夫じゃないからな!?なに!? そもそもパートナーってなに!?」 大和のその言葉に山椒魚は「あぁ~説明してなかったか」などと言いながら右前足の真ん中の指をピンと立てて説明を始めた。 「いやな?オレぁちょいと精霊王様に頼まれておめぇのパートナーやることになっちまったんだよ。…なんで俺が?みたいな顔やがんな。すまねえがそれについてはちょっと後だ。どうやら“敵”が来ちまったようだからよ」 「敵っ!?」 大和は慌てて辺りを見回すが、そこに敵と思われる姿はなに一つ確認出来ない。 だが彼の第六感は告げていた。 敵が来るぞ、と… ひとまず大和は視線を山椒魚の方に向けてさらに詳しい内容を聞き出そうとした。 だが… 『そこにいたのね?サラマンダー… 今すぐ私が貴様を排除してあげる』 一陣の風とともにある女性の声が聞こえた。
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