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『なんでバスケ部がないんだー!!』
俺が進学校の徳田高校を選んだ理由は、二つ。
一つ目は、かわいい女子が多いこと。
男子校だった俺にとっては、最重要項目。
二つ目は、通学圏内で一番バスケが強いこと。
中学での学力はというと、学年下から数えて3番目の底辺。
自分で言うのもなんだけど、めっちゃ勉強したよ、いわゆるガリ勉。
寝ても覚めてもバスケと勉強の繰り返し。
うちのじっちゃんなんて、合格した当日は、町内会の人達集めて朝まで酒盛りだよ。
おかげでご近所歩けば、『結城さんちの馬鹿息子』から『結城さんちのお坊ちゃま』に昇格したわ。
まあ、それはいいとして。
今年早々、バスケ部員が喫煙騒ぎを起こして廃部になっただと!
昨年の学校説明会では、先鋭部員募集とあれだけ宣伝しておいて、俺の青春を返してくれー。
もうさ、こうなったらチャらいと言われようが、女子だよ、女子。
ところが、進学校だから入学したての女子は、垢抜ける前の原石ばかりなのだよ。
徐々に磨かれて、2、3年生で開花するらしい。
――そんなこと、知らないし。
「ゆきー、いつまですねてんの? 部活紹介、見に行こうよ」
屋上のフェンスに寄りかかっている俺のそばまで来た春風太郎(はるかぜたろう)は、部活紹介のパンフレットを持ち、手を左右に揺らしてる。
「もも、その女みたいな言葉遣いと態度、イライラするから改めろ」
「2時から体育館だよ、時間ないから、ほら立って!」
ももは俺の手を取って、力一杯引っ張っているつもりらしいが、185cmの俺はびくともしない。
ゆっくり立ち上がって、160cmのももを見下ろした。
「……もも、少し背が伸びただろ?」
「僕だっていつまでも産まれたてのももたろうじゃないんだからね!」
ももは俺を見上げて、嬉しそうに笑った。
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