第1章

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「すげーな」 体育館の舞台上で、演劇部がコント劇をしているのだが、会場は静まり返っていた。 「笑いどころが難しいね」 ももにもよくわからないようだ。 「ゆきは部活動するの?」 「んー、バスケ以外考えてなかったからな。ももは?」 「僕は決めてるよ。あ、出てきた!」 あっという間に陳腐なコント劇は終わり、数人が楽器のセッティングをはじめた。 「吹奏楽か? ていうか、女子ばっかだな」 「ほらほら見て、あのショートカットの子。僕好きなんだよね」 「はっ?」 いつの間に恋してんだよ。 やっぱりお前も男だな。 いつにもまして、でれーっとしやがって。 そのとき、耳をつんざくような音が体育館に響いたと同時に、俺の周りから大きな歓声が上がった。 「アーユーレディー?」 舞台の真ん中で、エレキギターを持ったおかっぱの女子が、テンポの速い曲をかなで始めた。 「……なんだ、この感覚」 「彼女、格好いいでしょ?」 あの子が、ももの好きな子か。 彼女はきゃしゃな体で大きなギターだけでなく、頭もぐるぐる回していた。 バスケしか知らない俺にとって、彼女が見せてくれたものは衝撃的だった。
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