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「あー、それはおいおい……」
「え? 気になるでしょ。苗字で呼ぶのも意味がないって、なんで?」
真横にいる水乃を見下ろす。
水乃の肩、うすっぺらいな。
水乃は下を向いたまま、ぼそりと話し始めた。
「どうして女子の私が先に選ばれたんだろうって、ずっと落ち着かなかった。本当はこういう話は男子からして欲しかったし、普通なら自然とみんなはそうなっていくんだろうし。だけどギターに選ばれたものはそれなりに背負う運命があって、それは絶対にそうなるのよ。今そう思っていなくても」
「……意味不明」
「じれったいかもしれないけれど、私にも時間が必要なの。初めてのことだから」
水乃の肩を叩いた。
振り向いた水乃のほっぺに、俺の人差し指、命中!
――結構食い込んでんですけど、俺の指。ちょっとは反応してくれよ。
「よくわかんないけど、無理に話さなくても、いずれ俺にもわかるんだろ? もう帰ろうぜ」
水乃のほっぺにくい込んだ指を引いた。
――真っ赤な上に爪の跡まで残ってるじゃん。
水乃の頬に触れた。
「明日から、結城は私の彼氏。明日の朝、私の家に集合。以上、解散!」
そういい残して、足早に部室を出て行った。
――俺の聞き間違いだよな。
今のは、水乃に告白されたのか!?
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