第1章

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「あー、それはおいおい……」 「え? 気になるでしょ。苗字で呼ぶのも意味がないって、なんで?」 真横にいる水乃を見下ろす。 水乃の肩、うすっぺらいな。 水乃は下を向いたまま、ぼそりと話し始めた。 「どうして女子の私が先に選ばれたんだろうって、ずっと落ち着かなかった。本当はこういう話は男子からして欲しかったし、普通なら自然とみんなはそうなっていくんだろうし。だけどギターに選ばれたものはそれなりに背負う運命があって、それは絶対にそうなるのよ。今そう思っていなくても」 「……意味不明」 「じれったいかもしれないけれど、私にも時間が必要なの。初めてのことだから」 水乃の肩を叩いた。 振り向いた水乃のほっぺに、俺の人差し指、命中! ――結構食い込んでんですけど、俺の指。ちょっとは反応してくれよ。 「よくわかんないけど、無理に話さなくても、いずれ俺にもわかるんだろ? もう帰ろうぜ」 水乃のほっぺにくい込んだ指を引いた。 ――真っ赤な上に爪の跡まで残ってるじゃん。 水乃の頬に触れた。 「明日から、結城は私の彼氏。明日の朝、私の家に集合。以上、解散!」 そういい残して、足早に部室を出て行った。 ――俺の聞き間違いだよな。 今のは、水乃に告白されたのか!?
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