第1章

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 アンドロイドだからと言う理由だけで差別を受けてきたのだろう。ユウの声を聞けばわかる。人と違うだけで見下され、僕らの傍に置きながら同じ目線や立場に立つ事を嫌う。  それでもアンドロイド達が何も言わないのは、彼女らには守らなければならない原則があるからだ。  1  ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。  2  ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。  3  ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。  僕はユウの横顔を見ながら「アンドロイドは人間ではない」そんな当たり前の事を思い知らされた。  でもそれは僕もあの警察と一緒だった。ユウに酷い事をしてしまっていた。  ユウが口うるさいのも全て僕の為にやってくれている事くらい分かっていた筈なのに……  それからは僕はユウと仲直りをした。また二人で食事をするようにもなった。  相変わらず作法やマナーに厳しいユウだったが、僕の話を聞いている時のユウは以前よりも嬉しそうだった。  サボって遅れた分の勉強はテレビを見る時間を削って取り返した。  いつか全部ユウのおかげだったと言う為に。  そして僕は弁護士になった。まだ小さいな事務所だが、アンドロイド関連の訴訟を中心とした事務所に席を置くことが出来た。  その事がよほど嬉しかったのか、お祝いをしようと言ってユウは飲めもしないのに記念だからとリーデルのグラスを二つ買い、少しだけ高いワインを僕にプレゼントしてくれた。  自分自身も嬉しかったんだと思う。思いの外酔いが早く回り、テーブルに突っ伏していると小学生の時のようにユウが僕の頭を撫でる。  ユウの手だ。  ちょっとだけ動きが硬くて暖かい。  その感覚がとても心地よくて、僕は酔いつぶれたままのふりをしていた。  ようやく大人になれた気がした。もっと勉強して、経験を積んで、そうしたらユウを救える、そう思った。  そう思っていた。
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